| メイン |

2004年7月21日

オールディーズ [ その2 ] ( Mayumi )

 私が生まれた家、その家は現在残ってはいないのですが、すぐ裏に墓場がありました。現在の同じ場所には想像もつかないくらい木々がうっそうと茂っていました。その大小のお墓と木が格好の遊び場でした。基地や隠れ家を作るのには最高です。また、ままごとの時のお部屋作りにももってこいなんです。もちろんかくれんぼにも最適!

 また、墓場にはちょっとした広場があって、滑り台とブランコがありました。先をあらそって使用したものです。学校から帰って来るとまずは裏に出てみます。すると誰かしらいるので、すぐに何かをして、遊び始めます。そのうち、ひとり、ふたり、またひとりと増えて、大勢で遊びました。時には二手に分かれてゲームをしたり、野球やドッチボールをしたり、お墓を卓球台にして、卓球をしたり、また、縄でわっかを作り電車ごっこしたり、そのとき駅はもちろんお墓、そして葉っぱの切符。

 小さい子がいるとチームのボスがじゃんけんしてより有益な子から選んで自分の仲間に入れます。ひとり余ったりすると、「もらいっ子」というわけで、その子が有益になるかならないかは定かではありません。
夕方遅くまで遊んでいて、気が付くとすっかり日が暮れています。そんな時「まんまだぞ〜、うっつぁ入れよ〜!」(食事だから、家に入りなさい)と言う声がして、三々五々家に戻っていきます。

 夏休みに入ると「遊園地」(と私達は呼んでました)は賑やかになります。なんせ木がたくさん茂っていますからセミがうるさいほど鳴きます。夜寝るときにもその声が耳について離れないような気さえします。セミだけでなくとんぼや蝶々、その他たくさんの虫が草むらに潜んでいて、虫かごはあっという間にいっぱいです。カンカン照りの日でも、墓場は日陰がいっぱいで、それに墓石というクーラーもあって、と〜ってもすずしいのです。
 
 午前中あんなに賑やかだった遊園地も、午後になるとしん…と静まり返ってしまいます。ミ〜ンミンミンミンミ〜ン…とセミの声だけが人ひとっこいない墓場に響きます。うっそうとしかもひんやりとした墓場とは対照的に墓場の外はカーっと照りつける夏の午後の強〜い陽射で目も開けられないほど。炎天下のぶらんこが時折墓場の方から静かに吹きわたる風に揺れてキーコ…キーコ…とさびしげな音を奏でています。
そう、その時間はお昼寝の時間で、私は北開きの涼しい風が入るへやでお昼寝です。
通りも殆ど人通りがなく、時折、「カランカラン…カランカラン…」とアイスキャンデー売りの自転車、また金魚〜ェ、金魚〜ォ…、あるいはチリン、チリン…と風鈴売りなどが通っていく音などが遠くから夢うつつに聞こえて来たような気がします。

 どのくらい眠ったのでしょうか、陽は西の空の領域にだいぶ傾いてしまっています。よほど涼しくなったようです。再び遊園地はにぎやかになります。

 また夏の夜の墓場は花火大会の会場になったりもします。滑り台の上で点火したのを眺めるのはとってもきれいでした。また、点火した花火を持ったままブランコに乗ると花火もゆれて幻想的なんです。近所のお友達大勢さそい合ってそれぞれ花火を持ち寄り、文字通り花火大会になるのです。大きい男の子が大きな花火を点火してくれます。女の子は線香花火など小さな安全な花火をします。中にはいたずらっこがいて、知らぬ間に人の後ろから追っかけ花火などを点火して、ひんしゅくをかう、なんて一こまも懐かしい思い出です。
 やがて、花火もなくなり、しんと静まり返ってしまうと、だれともなくこわ〜い話を始めるんです。辺りがお墓ですから、それに木がうっそうしてるからそれはそれは雰囲気満点です。小さい子なんて泣き出してしまいます。そうすると大きな男の子は益々面白がっていっそう怖い話を続けるのです。

 夜も更けてきて、いくら夏休みとはいえ子供達はそんなに遅くまで夜更かししてませんでした。どこかの家のおどっつぁま(おじさん)の「いつまでおきてんだー!早く、うっつぁ(家に)帰って寝ろよー!ラジオ体操起きらんにぞー!」と怒鳴る声にあわてて、それぞれ兄弟や友達と帰って行きます。蚊やぶよにくわれたのもなんのその「明日なー…」って。
 
 翌朝のラジオ体操で元気な顔を見せるわんぱくさんたちでした。また一日「墓場遊園地」で遊ぶのです。宿題はどうしたんだっけなァ…

投稿者 aizunekai : 2004年7月21日 17:51

コメントをどうぞ

Spam Protection by WP-SpamFree

Copyright (C) 2003-2006 Aizunekai All Rights Reserved