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2004年02月24日

謝肉祭

現在、ヨーロッパは謝肉祭真っ只中です。謝肉祭とはカトリックの行事で、四旬節の直前に行われる祝祭です。で、四旬節とは何かというと、灰の水曜日から復活祭前夜までの日曜日を除く40日間のことで、この間節食や断食または懺悔を行うことになっています。

四旬節中はいくつか重要な日があります。四旬節第5日曜日、そして四旬節最終日曜日であるシュロの主日(※)、その間の一週間は聖週間または受難週、その金曜日が受難日または聖金曜日と呼ばれます。四旬節は、日本語では四旬祭・大斎節などとも呼ばれるようです。

復活祭は春分後の満月直後の日曜日で、今年は4月11日にあたります。そこから逆算して、灰の水曜日は2月25日になります。その直前の月曜日と火曜日はそれぞれ、薔薇の月曜日・懺悔火曜日といい、月曜日はお休みでした。謝肉祭は道化・滑稽・歓楽が許されており、この時期はいろんな格好をした人が街を歩いていて、あちこちでパレードやパーティがあります。私も写真の猫マスクまで用意した(というか、私以上に張り切っていた友達から貰った)のに結局諸事情でパーティには行けず・・・うーん残念。

実際に復活祭まで節食する人は、イスラム教のラマダンなどに比べればさほど多くないようです。若い世代にいたっては「神は信じてないけどまあ生活習慣の一部だし。イベントになら乗る」という始末で・・・誰ですか日本のクリスマスは非難の対象になってるとか言った人は!もうまったく同じじゃないですか。

そうかと思えばこういうニュースもあるわけでして。
メッカでバレンタイン祝い逮捕 アジア人労働者200人(朝日新聞
この記事で、宗教警察なるものの存在を初めて知りました。世の中にはいろんな国があるんですね。


※シュロの主日:キリストが受難を前にエルサレムに入った日であり、信者はその通り道にシュロの枝を撒いて彼を迎えた。(ヨハネ伝)

単語対応表(日本語:英語:ドイツ語):
・謝肉祭:Carnival:der Karneval
・四旬節:Lent:die Fastenzeit
・灰の水曜日:Ash Wednesday:der Aschermittwoch
・復活祭:Easter:das Ostern
・四旬節第5日曜日:Passion Sunday(このPassionはキリスト教用語で「キリストの苦難」という意味で、語源はラテン語):いろいろ調べたんですが、ドイツ語がわかりません。そのままder Leidenschaftsonntag?
・シュロの主日:Palm Sunday:der Palmsonntag
・聖週間または受難週:Holy Week:die Karwoche
・受難日または聖金曜日:Good Friday:der Karfreitag
・薔薇の月曜日:私の独英辞書には説明のみで特定の英単語なし:der Rosenmontag
・懺悔火曜日:Shrove Tuesday:der Fastnachtsdienstag


参考資料:薬局のおまけで貰ったカレンダー、The Concise Oxford Dictionary、The Oxford Color German Dictionary、広辞苑、研究社新英和・新和英辞典。およびヨーロッパ各国出身の友人の皆さんありがとう。

投稿者 akiko : 04:06 | コメント (0) | トラックバック

2004年02月17日

シュヴァルツヴァルト

日曜日は、シュヴァルツヴァルト(der Schwarzwald: 黒い森)のスキー場に日帰りで行ってきました。スキー場に行くのは何年ぶりでしょう。とてもよく晴れていて雪のコンディションも良かったです。

途中、誰かが怪我をしたらしくヘリコプターが出動する場面もありました(写真参照。見えますか?)が、おおむね平和なスキー場でした。あ、ヘリコプターは私のために出動したわけじゃないですよ。そりゃ本日は首から下が全身筋肉痛で、今こそヘリコプターの出動を要請したいくらいですが、とりあえず日曜日は大丈夫でした。

しかしまあ、朝4時半に起きるだなんて、以前ミュンヘンに行った時以来です。2台の車に分乗して行ったんですが、帰りに一台の車のタイヤがひとつパンクしてタイヤ交換をするはめになりました。事故になることもなく、タイヤ交換もできて無事に帰ることができて良かったです。そしてそういう時に私は何の役にも立たないわけで・・・というかそもそも誰も私が役に立つとは思っていないわけで・・・役に立たないならせめて邪魔をしないようにしようと、おとなしくしていました。

帰り道では同じ車に乗っていた友達にポーランド語の手ほどきを受け・・・たものの、もはやほとんど覚えていません。スキー場で転んで頭打って、ただでさえ悪い物覚えが余計悪くなった気がします。それに比べて彼らの日本語の覚えの早いことといったら!なんなんでしょうかこの違いは。やはり私に語学の才能はなさそうです。

そうそう、ゲレンデというのはドイツ語です。中性名詞です。あードイツ語の期末試験のために勉強しなくては。

投稿者 akiko : 09:11 | コメント (0) | トラックバック

2004年02月09日

マサチューセッツの判決

最近のドイツは良い天気です。気温はあいかわらず低いんですが。でも、一時期よりは少しずつ暖かくなってきたような気がします。それにしても、道のど真ん中でのんびり写真を撮っていても大丈夫だとは、つくづく私はどんなところに住んでいるんでしょうか。

今年の2月8日は日露戦争開戦からちょうど100年でした。というようなことを私は今まであまり意識したことはなかったのですが、ここはヨーロッパです。ちょうど100年前、ロシアの侵攻に苦しめられていたトルコやフィンランド人にとって、バルチック艦隊を破った東郷平八郎元帥はいまだに英雄中の英雄なのだそうです。つくづく、ロシアは大きな国なんですね。

トルコ人の友達がいるのですが、彼に初めて会った時「日本人なの?日本人は強くてかっこいいね!」と言われて「な、なんの話?」とびっくりしてしまったことを思い出します。お恥ずかしい。そういえば、イランイラク戦争の際、どこの国も自国民の脱出を優先する中で、危険地帯に取り残された日本人を運び出してくれたのはトルコの飛行機でしたね。日本のことを良く思ってくれている国はいろいろあるのに、なんで日本政府はこんなに外交下手なのでしょうか。

アメリカのマサチューセッツ州で、同性婚を認める判決を最高裁が下しました。ゲイのメッカといわれるサンフランシスコを抱えるカリフォルニア州でもなければ、数字の上では男女比が半々だけれど実際は1:9だと言われるニューヨークシティを持つニューヨーク州でもないあたりが驚きです。

また、朝日新聞の記事にもありますが、バーモント州では既にシビルユニオン制度(制限付きパートナーシップ制度)が採択されています。が、今回のマサチューセッツ州の判決は完全に異性婚と同じ結婚として認めるというものです。大統領選が近いこともあって、これはマサチューセッツだけの問題では済まなそうです。再選を狙うブッシュ現大統領は同性婚に否定的です。アメリカといえばゲイが多い!というイメージがありますが、実はなかなかに保守的な国なのです。

こういったことに関してはヨーロッパの方がよほどおおらかです。異性婚とほぼ同等の法的権利と義務を世界で初めて同性カップルにも認めた国はオランダです(注:オランダ国籍もしくは永住権を持つ者にのみ適用)。相続、年金、税金、はては離婚にまで異性婚と同じルールが適用されます。

養子縁組においてのみ多少の制約がある(そのカップルが○年以上同居していることとか、海外からの養子は迎えられないとか)ようですが、それほど大きな枷ではありません。オランダでは同性愛者に対する差別は法律で完全に禁じられています。男女雇用機会均等法のようなものでしょうか。ちょっと違うかな。

まあオランダは、ソフトドラッグや売春などこれまで地下で行われてきたことを法の下で管理することによってブラックマーケットやマフィアを駆逐するというコペルニクス的転回な方針を取っている国なので、さして驚くようなことでもありませんが。

そしてオランダは確かに何でもありな国なのですが、権利には必ず義務がつきまとい、自分の行動の責任は自分で取れるという心構えが必要であることも明記しておきます。くれぐれも大人の振る舞いをお忘れになりませんよう。

また、制限付きではあるものの同性婚を認めたという点では、オランダよりはるかに早くデンマーク、ノルウェー、スウェーデンが実施しています。他にも、フランス、ドイツ、ベルギー、スイスにも同じような制度があり、制限の大小は国によって少しずつ異なります。どこの国も養子を迎えることについてが一番のネックになっているようですが、それを除けばベルギーやドイツなどでは異性婚と同じ権利と義務が保証されています。

オランダは元々移民の国でいろんなことに懐が深い国であるという背景があるのですが、カトリックの強いフランスでこのような制度が認められたというのは驚くべきことです。また、ヨーロッパは同性愛に寛容だとはいっても、ラテン系の多い国(イタリア、スペインなど)は多少違ってくるようです。

ひるがえって日本は、同性婚を禁じる法律(ブッシュ大統領は再選したらこれを連邦議会に提出するつもりだそうです)こそないものの、「婚姻は両性の合意においてのみ成立」するとなっています。このような国で同性カップルが社会的に繋がりを持ちたいと思った場合、どちらかがもう一方の養子になるという方法をとります。結婚と同等の権利とまではいきませんが、それなりにカバーできる方法です。

私個人としては同性婚が認められたところで自分にメリットがあるわけではありませんが、だからといって躍起になって否定する理由はどこにもありません。むしろ、自分にメリットがなくても、もしそういった制度によって不自由がなくなる人たちが少なからずいるのであれば、私はそれを支持します。社会の選択肢は多い方がいいと思うし、第一、性的嗜好というプライバシーの最たる部分は、すべての人が同じように尊重され侵害されずにあるのが望ましいと思うのです。なので、国家レベルで個人の嗜好に土足で踏み込んでいくような真似にはあまり賛成できません。

熱心なカトリック教徒で同性愛には賛成できない、どうしても感覚的に受け入れられない、それは大いに結構です。しかしそれは個人の思想にとどめておけないものでしょうか。そのように主張する権利があるように、そうでない人たちにも同じように主張する権利があると思うのです。

そして、そうでもしないと国が立ち行かないとかただでさえ少子化がとか言われそうですが、そんなことは同性婚を認めようが認めまいがどのみち変わらないのではないでしょうか。同性愛者に向かって、いいから異性と結婚して家族を持てと言うのは、犬に向かって猫になれと言うようなものだと思うのです。

投稿者 akiko : 20:44 | コメント (0) | トラックバック

2004年02月02日

中村教授の訴訟

毎日立て続けにMyDoomが来てます。流行ってますね。流行ってるという言い方が適切かどうかよくわかりませんが。

私は甘い物があまり好きではないのですが、時々衝動的に食べたくなります。で、ティラミスを買ってきました(写真)。普段ドイツ人の食に対する保守っぷりを目のあたりにしていると、ティラミスもおかき(頂き物です。先輩ありがとう)も普通に食べられる日本人の食生活は我ながら驚異的です。

海苔つきのおかきなんてヨーロッパ人に食べさせようものなら「なんでお菓子なのに魚の味なの?」と言われることは明らかです。魚の味と海藻の味はちがーう!そんな違いもわからん奴は食うな!といちいち海原雄山のような反応をするのも面倒くさいので、独り占めです。ふふーん。

渡辺謙の助演男優賞はじめ、ラストサムライは今年のアカデミー賞で合計4部門(art direction, costume, sound, supporting actor)の候補に挙がりました。ドイツでも大人気です。良かった良かった。渡辺謙はハリウッド映画初出演でゴールデングローブ賞とアカデミー賞両方の候補になるなんて、本当に素晴らしいですね。

そして私はここで声を大にして言いたい!真田広之主演の「たそがれ清兵衛」(英題:"The Twilight Samurai")も外国語映画賞の候補になっているんですよー。今年のアカデミー賞候補についての詳細は公式サイトにあるリストを見てください。ラストサムライとロードオブザリングスの衣装チームは同じなんですね。あ、そういえばロードオブザリングスの3はとっくに公開されているんですが、いまだに私は1しか観てない…3時間*3作は長いです。

ついでに、渡辺はワタナ「ベ」だ、ワタナ「ベ」!ワタナ「ビィ」じゃなーい!と、これも声を大にして言いたい…と日本語で書いても意味ないんですけどね。そりゃbe動詞のbeと同じスペルだけど、違うんだーー!サキ(酒)もカリオキ(カラオケ)もカラティ(空手)もそれでいいから、人の名前くらいはなんとか頑張ってほしいです。なんて、いまだにMcDonald'sをちゃんと発音できない私が言うのは筋違いかもしれませんが。

さて、今週の大きなニュースといえば、UCSBの中村先生の青色LED(※)訴訟に判決が出ましたね。今回は中村先生の功績も桁違いに大きければ会社の対応も桁違いにひどいというあまりに極端なケースなので、今後これが参考になるような裁判はそうそうなさそうです。が、子供の理数系離れがどうとか頭脳流出がどうとか技術者と研究者の待遇の悪さとか言われている中でかなり大きな起爆剤になりそうだと期待しています。

理数系離れとかなんとか、私が中高生の頃から言われているような気がします(実はもっと前から?)が、ずーっと言われているだけなんですよね。国がそういうこと言う割には授業時間が減ったりしていますし、やる気がないのは子供じゃなくて大人の方でしょう。文部科学省による学力テストの結果(朝日新聞)なんてもう今更という感じがします。個人的には、問題の内容も公開されていなければ期待値の具体的な出し方も明記されていない統計がどこまで信頼に足るのか疑問です。そんな中で、イチローも松井もかっこいいけど中村教授もかっこいい!と小中学生が思ってくれたら嬉しいです。


※LED(Light Emitting Diode):発光ダイオード

投稿者 akiko : 22:42 | コメント (0) | トラックバック