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2004年05月31日

マイケルムーア

月曜日が休みで三連休なので、土曜日に本屋に行って連休に引き篭もるための本を買ってきました。

Michael Moore, "Stupid White Men" (マイケル・ムーア, アホでマヌケなアメリカ白人)
John Irving, "A Prayer for Owen Meany" (ジョン・アーヴィング, オウエンのために祈りを)

入手元は、ザールブリュッケンダウンタウンにある本屋です。小さな棚2つぶんしかない英語の本なのですが、その割には他にも面白そうな本がいろいろあってなかなか品揃えの良い本屋です。

しかし、いつも思うんですがペーパーバックって何故この紙質にこの印字の質(どちらも新聞よりややまし、という程度)でこの値段(日本の文庫本より高い)なんでしょうか。日本もどんどん本が高くなってるなーと思っていましたが、これに比べればコストパフォーマンスは最高です。むしろ、この値段設定で利潤は出るのか?と心配になります。ハードカバーの装丁も凝った綺麗なものが多いし。

まずはムーアからです。アマゾンジャパンのレビューを見ると日本語訳の評判がいまいちですが、原書は口語体の平易な英語で読みやすいです。しかし、いかんせん英語なので、主語動詞主語動詞主語動詞・・・延々とこの繰り返しでできている文章は単調で眠く・・・なりませんか?ムーアに限らず。そんな根性なしは私だけかなー。論文などではその単調さと明確さが英語の長所になるし、それなりに集中して読み始めるので滅多に眠くはならないんですが、ぼーっと読むにはやや辛いです。

とはいえ、どんなに単調だろうが人称代名詞の種類のなさにうんざりしようが、読めるなら原書を読むに越したことはないですね。翻訳というのは良くできたとしても錦を裏から見るようなものだ、と言いますし。大半は錦なんてレベルではなく、内容ではなく各文に忠実であろうとするあまりに破綻してしまっていて読んでもさっぱりわからない(理解力が足りないのか?)ものですし。

即興詩人(アンデルセン作・森鴎外訳)や風と共に去りぬ(ミッチェル作・大久保康雄、竹内道之助訳)などは素晴らしいと思いますが、滅多にあるわけじゃないですね。古めの翻訳物はかなり大胆なものも多く、これはこれで賛否両論あります。映画カサブランカの名せりふ「君の瞳に乾杯」は"Here's looking at you, kid"です。このくらい思い切った翻訳の方が私は好きですねー。

話がずれました。ムーアですね、ムーア。当時は色々な情報が錯綜していてわかりにくかった2000年大統領選挙のこと(特にフロリダと海外の不在者投票関連)がわかりやすく書かれていて面白いです。ブッシュ現大統領については、アフリカを国だと思っているだのアル中で失読症で脱走兵の駄々っ子だのと言いたい放題です。教育の現場の崩壊については日本も同じですね。これはアメリカと日本に限ったことではないようですけれども。

ボウリングフォーコロンバインを観た時に主張はもっともだと思いつつも何か座りの悪い感じがしていたんですが、今回それが何だったのかなんとなくわかりました。それは、彼の主張のそこかしこに見え隠れする「弱者=善、強者=悪」という二元的な部分です。それは真ではないと思うのですが、いかがでしょう。本人の真意はよくわかりません。わざとそのようにして書いた扇動的な本にも見えますし。

アメリカ人は自虐的な笑いというのをやらないのかと思っていたんですが、そんなことはないんですね。この本は、アメリカ人で白人で男性という、黙ってりゃそこそこ恵まれた立場にある筆者が書いたという点に意味があるんですねー。

最後にひとつ。男なしでも生きていく方法のひとつは「脚立を買う」だそうです("The End of Men"の章)。いやーごもっとも。

投稿者 akiko : 2004年05月31日 21:59

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